石牟礼道子氏死去

石牟礼道子氏が亡くなった。
90歳である。

大学生の頃、『苦海浄土』を読んだ。
チッソによる水俣湾へのメチル水銀化合物の垂れ流しにより、魚介類が汚染され食物連鎖の果てとして、人間に対しても水銀中毒の病を発症せしめる事となったが、それについて書かれた本である。
丁寧な文章であった記憶がある。それだけに胸に迫るものがあった。
『苦海』とは海。『浄土』も海である。水銀で汚染された美しい海は、苦をもたらす地獄の海である。それと同時にまた、穏やかな海は地元民の生活を支えてきた恩恵の海である。漁に出て舟の中に居ればそこは『極楽』の海なのである。

当時、水俣ではなかなか真実が分からなかった。真実を隠す隠蔽作業も行われた。

今、沖縄に『苦海浄土』はないのだろうか。
辺野古は『苦海浄土』ではないのだろうか。