香港メディアへの恫喝

8月10日、香港において7人のメディア人を中心に10人が、香港国家維持法違反容疑によって逮捕された。

彼らは翌日、保釈金を積んだうえで保釈をされたが、中国共産党の執拗な嫌がらせが続いている。

今回の逮捕劇には二つの側面がある。

ひとつは香港メディアへの恫喝である。

”アップル・デイリー”を創始した黎智英氏とその息子二人。また、黎氏の経営するメディアグループ企業「ネクストデジタル」の幹部4名である。

黎氏らはこのメディアにおいて、反共・反中を貫いてきた。もともと黎氏は若いころ広州から脱出をして密航により香港に入ってきた。筋金入りの反共である。

また黎氏は米国政界に太いパイプを持つ。

この黎氏を中国共産党が敵視するのは当然であり、黎氏も国家維持法が施行された時点で逮捕を覚悟していたという。

二つ目は、外国との繋がりを断たせることである。

ほかに逮捕されたのは、フリーランス記者のウイルソン・リー氏、政治グループ「香港故事」メンバーの李宇軒氏である。この二名は昨年来、英国に対してロビー活動を行ってきている。

そして、周庭氏である。

彼女は日本語で日本との交流のできる人物であり、日本において人気が高い。それだけに日本に対して影響力を持つ人物であり、中国共産党としては絶対に外せない犯罪人対象者なのである。

まとめてみるならば、『外国勢力との結託』が法に反しているという事であろう。事後立法になろうが、中国共産党はまったく気にもしてはいない。とにかく恫喝なのである。

また、反中勢力の分断を計ってくる様子がある。

黎氏らは、粘り強く自由と民主化を主張してきていた。

二人の李氏はどちらかと言えば強く過激な言動を伴って行動を起こしてきた。

周氏は基本的には話し合い派であり、大陸からの中国人と理解を深めていく中道的な立場も持ち合わせている。(しかし、もちろん民主主義・自由。或いは法と秩序を行動の芯としている)

この三者三様の活動に手を突っ込んでくるのである。

 

マッカーサー元帥の言葉に次のような言葉があるそうである。

”ペンは剣より強し、という人ははっきり言って、自動小銃を見たことのない人であろう。”

 

笑えない話である。

 

圧倒的な力を持った勢力が、香港の民主主義と自由を不法と秩序の混乱を用いて殴り込んできているのである。

国際条約の英国との約束を破りながら、内政問題であると言い切る厚顔無恥に、自動小銃の砲火を見る。