<海という密室>千葉和夫氏の提訴

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  (首のコルセットはまだ外せない)


一昨日、辺野古で強行されている新基地建設において、これに反対する市民が海上抗議行動でけがを負ったとして、国を相手に約280万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。

 

千葉氏は支援者・弁護士と共に那覇地裁に訴状を提出した後、県庁において記者会見を行っている。

私も県庁での記者会見に同行したのであるが、この民事訴訟がいかに重要であるかを、今更ながらに確認をした。


事故が起きたのは今年4月15日である。

海保のGB(外付けエンジン付き硬質ゴムボート)が、まず千葉氏のカヌー左側から襲い掛かり千葉氏の首をGBの先端が直撃、その直後今度は右側から別のGBが襲い掛かり、今度は千葉氏の後頭部を直撃した。

 

千葉氏の記憶は、この事故の途中で薄れて切れている。

この後、海保の㎇に確保され救急搬送のため抗議船に移されたことの記憶もないのである。

それほど衝突による衝撃は強かったのである。

 

抗議者らの手配による救急搬送によって北部病院に搬送された千葉氏は、ようやくベットの上で意識を取り戻した。いつウエットスーツを脱がされたかも覚えてはいなかった。

 

問題なのはこのあとである。

その後動ける状態になった千葉氏は、支援者等と共に海上保安庁に赴いて海保に事故状況の説明を行った。そして責任を問うた。

幸いにこの事故の際、他の抗議船のメンバーが動画で事件の一部始終を撮っていたのである。

何故ならば、この日海保はカヌーを漕ぐ千葉氏に対して、偏執的な妨害を行っていたため、異変を感じた仲間が動画の撮影を始めていたのである。

 

千葉氏は言う。

”もしこの動画という証拠がなかったならば、過去にも起こされた同様で危険な行為・傷害行為と同じように、この事件も闇に葬られてしまっただろう”、と。


しかし驚くべきことに、海保はこの証拠動画を見た後の回答(公式見解)として、”適切な警備であった”と言って来たのである。

 

このままでは、今後も海保の身勝手な警備は続けられ、千葉氏に限らず”カヌーという生身の体”で抗議を行っている仲間たちへの危険な攻撃が放置されてしまう事となる。

 

海上での抗議活動は、ある意味<海という密室>で行われる。

陸上であれば一般の市民による目撃・監視も期待できるが、海上は一般社会からは遠く離れ、広くひろがる。

証拠は残らないのである。

 

今回は、動画という立派な証拠がある。

それでも、海保はしらを切ってきたのである。

 

この訴訟は、千葉氏という一個人の問題ではない。

辺野古の新基地建設反対という抗議運動にかかわる、”市民全体への問題として”の提訴なのである。

 

国による身勝手な警備の現場、法を蔑ろにするその姿は、サンゴ採捕における国の身勝手な解釈と重なる。

この日大浦湾ではサンゴ移植作業が強行されていた。

 

この訴訟は決して小さなものではない。

今後の大浦湾での抗議活動に、大いなる影響を与える大きな訴訟なのである。

 

皆さんの注目と支援を期待したい。