無言の言

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趣きをかえて、今日は喜友名諒選手である。

つい先程、金メダルを確定した。
素晴らしいの一言である。

様々な事があり、空手のオリンピック競技種目決定には時間が掛かってきた。
この東京オリンピックでの競技種目決定には、開催地と言う地の利が作用している。
次回のパリ大会では、種目として採用はされていない。
多分、最初で最後のオリンピックであろう。

このたった一回のオリンピックでの金メダルの価値は計り知ることが出来ない。
況してや、空手発祥の地である沖縄出身の喜友名諒選手による金メダルであった。
本家本元の暖簾を守ったのである。

柔道は、前回の東京オリンピックから始まった。
しかし残念ながら、柔よく剛を制す柔道において、無差別級の金メダルはオランダのヘーシンクにさらわれた。
剛に敗れた禍根を残し、未だにその傷の痛みは続く。

幸いに空手は禍根を残すことから免れた。空手の精神性を守ったのである。


翻って、前日の女子の空手形の金メダルはスペインに渡った。

個人的には清水希容選手の圧勝であった。
気迫、力強さの中に静けさがあった。精神性である。
相手の選手には、力強さしか感じられない。
空手の形の精神性の深さが理解されているとは思えない、審判であった。

形は採点競技である。

今回の空手競技の審査員31人の中に、日本人は一人だけと聞いている。テレビで見る限りでは、形の審判員に日本人はいない。
空手の国際化の流れの中で、空手の精神性が充分に理解されているとは思えない審判が、今までの国際大会でも為されていた危惧を感じていた。
空手の国際化のために、メダルが分散されてきた気がするのである。

一方、空手の組手に対しては、最早見る気が失せている。
グローブを着けたその戦いは、キックボクシングとの見誤りを引き起こす。
空手着だけがその違いを表しているように思う。

金メダル獲得後の喜友名諒選手へのインタビューで、喜友名諒選手は長く無言の状態であった。
しかしその無言は、聴かずとも心に届く言であった。

〈とても個人的な見解でした〉