戦争を発掘する

f:id:churaumichurashima:20190511231552j:plain
   (安里進氏 元県立博物館・美術館館長)

今日、宜野湾セミナーハウスで安里進氏の講演会が行われた。
安里氏は考古学者である。

聴衆者は約70人ほどおり、かなり硬い内容の話ではあったが、じっと耳を傾けていた。

まず日本列島・東アジアの歴史展開から話が始まり
そして、浦添ようどれの話しに移っていった。

戦前の浦添ようどれは国宝候補であったという。13世紀から17世紀にかけての琉球王陵、英祖尚寧王陵があった場所である。

この浦添ようどれのある浦添グスク周辺が、琉球・沖縄の歴史にとっての重要な戦場に何度もなっていた事実を知った。

1405年 三山統一の決戦場

1609年 島津軍と琉球軍の決戦場

1945年 日米両軍の決戦場

そして、1996年~2004年にかけて、浦添ようどれの発掘調査が行われた。
その結果、暗しん御門が現れ、その発掘現場で日本兵の遺骨、遺品、米軍の弾薬の破片などが発見された。

戦争を経過した文化遺跡が戦争遺跡と重なってしまったケースである。

講演会での内容は考古学的発掘と戦後民間による遺骨発掘との関係まで掘り下げられていて、大変参考になった。

地味な話ではあるが、地上戦を経験した沖縄ならではの問題を含んでいる。
今後の遺骨収集において、示唆の富む話であった。