衆院静岡4区補選 「案分票」
今回この選挙で珍しい事が起こった。
田中健という同姓同名の立候補者が出馬したことである。
野党四党相乗りの田中健氏と、N国党の田中健氏である。結果は両者ともに落選したのであるが、同姓同名のためどちらの得票か区別できない票が3708票に上った。
結果どのように処理をしたかと言えば、「案分票」として”得票割合に応じて”振り分けられた。
国政選挙ではなかなかない事例である。
因みに新聞紙上での表記である”案分”という漢字に違和感を感じたので調べたところ、やはり公職選挙法では「按分」という表記を使用しているのである。
しかし、常用漢字を使う場合は「案分」と書くのであった。
”“案”も”按”も、調べ整えるという意味では全く同じである。
どうでもよいことではあったが、なんとなくすっきりとした。
一方ひとつすっきりしないことがある。
今回の補選で当選したのは、自民党の深澤陽一氏である。次点が野党四党相乗りの田中健氏である。
得票率は、深澤氏61.3%・田中氏35.4%で、深澤氏の圧勝である。
特に前回の野党得票率合計と比べて、今回の野党四党相乗りは全体として10%得票率を減らしたという報道がある。
沖縄県とは政治土壌も違うし、政策内容も違うであろう。
しかし、野党四党(立憲・国民・共産・社民)が結束しての敗北は重い。
野党四党での共闘(野党共闘)は、今後の国政選挙に向けての一つの成功へのモデルパターンである。今回の選挙結果から、野党が共闘するということはどういうことなのか、何を目指すのかということを明確に国民に示さなければいけないことを学ぶべきである。
傾向と対策を怠れば、同じ轍を踏む。
安易に沖縄における野党共闘の成功事例を真似るだけでは、政権奪回は難しいであろう。
今こそ、野党共闘自体を ”按” すなわち、調べ・整えることが急務となる。
民主主義の一面は”数”の専横である。
”数”というブルドーザーの運転手を替えさせるには、どうすればよいのか。