措置命令と、ベニスの商人。
沖縄県は4月16日に、自然公園法に基づき糸満市米須での、熊野鉱山が届け出た土砂採掘に対し、措置命令の発出に向けた弁明通知書を出した。
弁明期間は4月30日までであったが、熊野鉱山はこの30日に弁明書を提出した。
”県の措置命令は違法”とのことであるが、県はこの弁明を受け内容を精査したうえで5月14日までに命令を出す。
一昨日行われた”国策に翻弄される島”講演会において、具志堅隆松氏はこのように述べていた。
”当初はこの措置命令を聞いて、沖縄が置き去りにされた気がした、とコメントをした。しかし今は実はこの措置は効果があるとわかってきた。”
と述べている。
理由はこうである。
”措置命令にある、遺骨の収集が出来なければ採掘はできない。これを破れば中止命令が出される。”
”しかし、遺骨の収集を完全に行うことはできない。”
”遺骨には風化によって小さな遺骨になってしまったものも多数ある。手や足の小指の骨は小さなものである。それらも石灰岩の中に沁み込んでいる。石灰岩の隙間の中に入り込んでいる。そのような遺骨まで完全に分けて収集することは不可能である。”
と遺骨収集の専門家である具志堅氏は述べている。
遺骨収集に関して、どこが、誰が、何人で、いつまでに、どうやってやるのか?
が厳しく問われる。
当事者はこの辺をクリヤーし、結果を出せるのか?
仮に措置命令が出されたとしても、まだまだ問題点は残されているのである。
諦めることは無い。
ベニスの商人を思い起こす。
アントニオがシャイロックから借りたお金の担保として、胸の肉1ポンドを約束した話である。
借金を返せなかったアントニオは、肉を切り取られることになった。
裁判官も持て余した状況の中で、法学者バルタザーが登場する。
そこであの有名な言葉が発せられる。
”肉を切り取れ。ただしきっかり1ポンド。かつ血を一滴でも垂らすと違反である。”
どこかの話と同じである。
”土砂を持って行け。ただし一片でも遺骨を取り出すと違反である。”
私は”措置命令”の名前を、
”ベニスの商人措置命令”と名付けたい。
”バルタザー措置命令”でもよいのであるが、あまり一般的ではない。
言葉遊びだと言えば、それまでである。
(金貸しシャイロック=ユダヤの流れから、今はやりの”ポリコレに引っ掛かる”と言ってくる方もいるかもしれない)