香港の優遇措置撤廃
”韜光養晦”という言葉がある。
1990年代に当時の最高指導者鄧小平が唱えた言葉である。
今、習近平は自らの力を過信して(或いは不安から)、隠し蓄えるから”戦狼外交”(噛み付き外交)へ一気にアクセルを踏み込んできた。
思えば、中国共産党は民主党時代の中国漁船による海上保安庁の艦船に対する衝突(突撃)事件あたりから調子に乗ってきていた。
オバマ政権への手なずけに充分成功した時点で、具体的に戦略を変えてきたのであろう。
香港返還は国際条約に基づいて行われたものである。
1898年にイギリスへの”99年間”の租借が決まったが、中国的な感覚で言えば”99年”という期間は半永久的な期間を表す。イギリスが文句も言わず、99年経つので返しましょう、としてあげたのである。
それには、各国が中国に援助を惜しまず経済発展をさせ、中産階級が育つ程度の経済力を持てば民主主義を理解し、自由主義陣営の一員として今後そのような役割を果たしていくであろう、との期待のもとであった。
あの酷い天安門事件以降にも、日本を中心として中国の復興に協力を惜しまなかった自由世界であるが、良い所取りをされて今に至ってしまった。
拝金主義によるグローバリズムで、日本をはじめ、ドイツ、アメリカ、フランス、イギリスなどの大国も、中国共産党に儲けさせては貰ったのであるから、一方的に文句は言えないのだが。
しかし、確実に潮目は変わったのである。
次の潮目は、アメリカ大統領選挙である。
ここでトランプ大統領が負け、民主党の政権(バイデンとは言わない)に代わるようであれば、大きく揺り戻しが起きるかもしれない。
民主党も今は反中国を唱えているが、カリフォルニアとニューヨークという親中派の大都市がベースの政党である。
また、日本も他国のことは言えない。
サイレントインベージョンに気づいたオーストラリアは、親中方針を変えアメリカと同調を始めている。
我が国におけるサイレントインベージョンの時期は、日中国交回復の田中角栄の時代からの長い時間があった。すっかりと地盤を固められてしまっている。サイレントではなくコンクリート状態である。
香港を捨ててでも、中国共産党は党指導部を守る行動に出ている。
昨日までは、
”窮鼠猫を噛む”のネズミは香港の民主派であった。
今日からは、
”窮鼠猫を噛む”のネズミは中国共産党である。
”自由世界という猫”に猛然と噛み付いてきたのである。
不謹慎であるが、この激動の中にいることの幸せを感じる。
戦後一番の、”世界史の潮目”に立ち会う事ができるのである。